マーケティング
マーケティング担当者が1人しかいない会社が、最初にやるべきこと
- 公開日
- 更新日
- 著者
- BUSCA編集部
- 監修
- 代表 戸井田 翔馬
この記事の結論
- 担当者が1人の会社がやるべきことは、施策を増やすことではなく、捨てる基準と任せる先を先に決めることです。
- 順番は、数字が見える状態をつくる、狙いを1つに絞る、やらないことを決める、の3つが先です。
- 外注するかどうかは、社内に残す判断と、外に出す作業を切り分けてから決めると失敗しにくくなります。
1人の会社がやるべきことは、増やすことではなく決めること
結論から言うと、担当者が1人の会社がやるべきことは、施策を増やすことではなく、捨てる基準と任せる先を先に決めることです。
1人で担当していると、依頼は各所から届きます。展示会の準備、サイトの更新、資料の作成、SNSの運用、問い合わせ対応。どれも断る理由がないので、気づけば手が埋まり、成果につながる仕事に手が回らなくなります。
これは能力や努力の問題ではありません。判断の基準を持たないまま依頼を受ける構造の問題です。だから、増やす前に基準を決めます。
最初にやること:数字が見える状態をつくる
結論から言うと、計測環境の整備を、どの施策よりも先に終わらせます。
見えるようにしておくのは、最低限この3つです。
- 流入:どの経路から人が来ているか
- 問い合わせ:どの経路の人が問い合わせているか
- その後:問い合わせのうち、どれが商談・受注になったか
3つ目まで見えていない会社は少なくありません。ここが欠けると、件数だけが多い経路に予算を寄せ続けることになります。BUSCAの支援でも、戦略の議論より先に解析・計測ツールの導入から入ります。数字が見えないと、やめる判断ができないからです。
次にやること:狙いを1つに絞る
結論から言うと、1人で複数のターゲットは追えません。
受注の実績を並べ、業種・企業規模・担当者の役割で偏りを探します。偏りが見つかったら、そこを当面の狙いに置きます。すでに受注できている層は、実績も事例もそのまま説得材料に使えるので、1人で回すには最も効率のよい選び方です。
決めたら、その内容を1枚にまとめて社内に配ります。狙う相手、狙わない相手、その理由の3つだけで十分です。1人体制では、担当者の頭の中にある狙いは、社内から見えません。文書にしておくと、営業から共有される情報の質も変わり、「この会社はターゲット外だと思うが、どうか」といった相談が来るようになります。
絞ると母数が減るので、短期的には不安になります。それでも戻さないと決めておくことが、結果的に一番の時間の節約になります。狙いの決め方そのものは、STP分析の手順に沿って進めると迷いにくくなります。
やらないことを決める:3つの判断軸
結論から言うと、依頼を受けるかどうかは、次の3つで判断できます。
- 狙いに合っているか:決めたターゲットに届く仕事か
- 積み上がるか:一度やれば資産として残るか、毎回ゼロからやり直しか
- 自分でなければできないか:社内の他の人や外部に渡せないか
3つとも「いいえ」なら、やらない候補です。断りにくい場合は、やらない判断そのものを個人で背負わないことが重要になります。上長と合意した優先順位の表を1枚つくり、依頼が来たらその表で説明します。基準が文書になっていれば、判断は担当者個人への否定ではなくなります。
外に出す判断:内製と外注の切り分け
結論から言うと、判断は社内に残し、手順が決まっている作業を外に出します。
外注してよいのは、広告媒体の運用、制作、コンテンツの量産など、進め方が決まっている作業です。一方で、誰に売るかを決める、どの施策をやめるかを決める、といった判断を丸ごと外に預けると、社内に知見が残らず、担当者が代わった瞬間に何も分からなくなります。
BUSCAが大手教育企業の家庭教師事業を支援したときも、社内にマーケティングの専門家がいない状態からの開始でした。サイトのリニューアルと広告の改善を進めながら、並行して運用のノウハウを講義とマニュアルの形で共有し、KPI指標を可視化して、最終的に社内メンバーで回る体制まで持っていきました(支援事例)。外部を使う目的は、作業を肩代わりしてもらうことではなく、社内に判断できる人を残すことだと考えると、依頼の仕方が変わります。
1人でも回る運用のつくり方
結論から言うと、手順書と定例の2つがあれば、担当が変わっても止まりません。
- 手順書:毎月やることを、誰でも同じ順番で実行できる形にする
- 定例:月1回、決めた指標だけを見て、続ける・やめる・変えるを決める
- 記録:やめた施策と、やめた理由を残す。同じ提案が来たときに即答できる
1人体制でいちばん危ないのは、担当者の頭の中にしか運用が存在しない状態です。手順書は引き継ぎのためだけのものではなく、自分の判断を毎回同じ基準に保つための道具でもあります。
半年の進め方の目安
結論から言うと、最初の1か月で土台、残りで検証に使います。
- 1か月目:計測環境を整え、受注実績から狙いを決める。優先順位の表を上長と合意する
- 2〜3か月目:狙いに合う施策だけを2つに絞って実行する。増やさない
- 4〜6か月目:数字を見て、続ける施策と、やめる施策を決める。手順書に落とす
この期間で成果が約束できるわけではありません。ただ、半年後に「何が効いていて、何が効いていないか」を自分の言葉で説明できる状態にはなります。1人で担当している会社にとっては、そこが次の投資判断の出発点になります。
よくある質問
- 予算がほとんどない場合、何から手をつけるべきですか。
- 計測環境の整備です。費用がほぼかからず、以降のすべての判断の前提になります。どの流入から問い合わせが来ているかが分からないまま施策を増やすと、やめる判断ができなくなります。
- 代理店に任せるべきか、自分でやるべきか迷います。
- 判断と作業で分けてください。狙う相手を決める、やめる施策を決めるといった判断は社内に残します。媒体の運用や制作など、手順が決まっている作業は外に出せます。判断まで外に預けると、社内に知見が残りません。
- 成果が出るまで、どのくらいかかりますか。
- 施策と商材によって幅があるため、期間をお約束することはできません。BUSCAの支援は3か月を1単位にしており、最初の1か月で計測と狙いを固め、残りで施策を回して判断材料をそろえる進め方をとっています。